いぬの看板

あの町角を曲がれば

<告知>「犬のたちの状態」刊行記念オンライントークイベント開催

2021年4月にフィルムアート社から刊行された「犬のたちの状態」(小説・太田靖久/写真・金川晋吾)の刊行記念として、2021年5月16日にオンライントークイベントを開催します。

導入は「犬の看板」について語ろうと思っています。

 

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出演は「犬たちの状態」の著者である僕と、僕が企画編集する文芸ZINE『ODD ZINE』にも寄稿されている小説家の鴻池留衣さん、ライターの伊藤健史さんです。

「犬たちの状態」には犬が出演する映画の数々が物語に組み込まれていますが、僕は「犬の看板写真」(行政が掲示する犬のフンを持ち帰ることを促す啓発看板)など、あらゆる<犬メディア>に注目してます。

そういった外部(サブカルチャー)をどのように創作に取り込むのかを、<犬メディア>を入口にして、ネットカルチャーを作品に取り込んでいる鴻池さん、 オルタナ系ポータルサイトデイリーポータルZ」で記事の執筆を続ける伊藤さんを交え、様々に語ります。
大阪のtoi booksさんのチャンネルからの配信です。

※参考。この三人が「犬の看板」について語った記事はこちらです。
https://dailyportalz.jp/kiji/dog_signboards-party

チケット購入ページ
https://toibooks.thebase.in/items/43943195

『犬たちの状態』刊行記念鼎談 
「続・創作のタネとしてのサブカルチャー」 
出 演:太田靖久×鴻池留衣×伊藤健史
日 程:2021年5月16日(日)
時 間:開始/21:00~
    ※視聴可能時間は翌日日24時まで
入場料:800円(税込)
場 所:toi books channel
問合せ:mail.to.toibooks@gmail.com

【プロフィール】

太田靖久(おおた・やすひさ)
1975年生。神奈川県出身。2010年「ののの」で第42回新潮新人賞を受賞。著書は『サマートリップ 他二編』(すばるDigitalBook、集英社、2019年)、『ののの』(書肆汽水域、2020年)。文芸ZINE『ODD ZINE』を企画編集。Twitterで犬をめぐる自由律俳句を不定期につぶやいているほか、ブログ「いぬの看板」でさまざまな市区町村の犬の看板を紹介している。

鴻池留衣(こうのいけ・るい)
小説家。1987年生まれ。2016年「二人組み」で新潮新人賞を受賞しデビュー。『ナイス・エイジ』(新潮社)、『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』(新潮社)、「最後の自粛」(新潮2020年6月号)、「あああ」(ODD ZINE Vol.5)、「わがままロマンサー」(文學界2020年12月号)、「スーパーラヴドゥーイット」(すばる2021年2月号)。

伊藤健史(いとう・けんじ)
1975年生まれ、会社員・ライター
理科系専門誌や男性ファッション誌への寄稿を経て2012年よりオルタナティブポータルサイト「デイリーポータル Z」ライターとして毒蛇のハブが生息する島を巡るシリーズや街角のプロパン ガスボンベ、玄関マット採集など、ニッチな路上観察記事を執筆している。
<デイリーポータル Z掲載記事一覧>
https://dailyportalz.jp/writer/kijilist/137

以上、よろしくおねがいします。

<告知>2021/4/24「犬たちの状態」(フィルムアート社)刊行

犬がらみの告知です。

フィルムアート社のウェヴマガジン「かみのたね」で連載していた「犬たちの状態」が書籍化されます。2021年4月24日刊行予定です。

僕の小説と金川晋吾さんが撮った犬の写真で構成されています。

 

filmart.co.jp

 

こちらから冒頭の第一話のみ引き続き公開中です。

 

www.kaminotane.com

 

猫派の方々もよろしくどうぞ。

 

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いぬの看板<特別編・その29/エピローグ>

いぬの看板<特別編・その29/エピローグ>

 

数回にわけてアップしてきたN暗K太氏の『犬のかんヴぁん』 Voyage of my dog sign  ~埼玉県東部地域編~がこれですべて終了した。

三度目の彼からの報告だったのだが、それぞれパターンが異なるうえ、初めて見る「犬の看板」もあって、私にとっても非常に新鮮で驚きに満ちた体験だった。

 

街中をふらついて「犬の看板」を探していると、自分が一体何をしているのか意味がわからなくなる瞬間にたびたび襲われる。数時間歩き回っても見つからない時はなおさらだ。

(ちなみに、行田市熊谷市はどちらも三時間ほど歩いたが、一枚も見つけることができなかった経験がある)

そんな風に自分の行動に懐疑的になりつつも、どうにか歩みを進めていけば、新しい「犬の看板」と出会えるかもしれないし、実際に「犬の看板」に出会えると、そのモヤモヤは一気に払拭され、カタルシスが訪れる。

 

ああ、ここまで来て本当によかった。

 

その感慨は人生を肯定する感覚と酷似している。それは自分自身に無理矢理言い聞かせて手に入れたものではない。「犬の看板」という外部の事物によってもたらされる、力みのない明るさをともなう知覚だ。

資本主義を軸にした世界では楽しみを得るためには相手に金銭を渡すのが筋だろう。おいしい食事や娯楽を享受したいと望む時、私はいつも財布の中のお金のことを気にかけている。

でも「犬の看板」を探している時、私は財布のことをすっかり忘れている。日常の先にある非日常の中でたしかに自由になっているのだ。

生まれてからこのかた、何一つ良いことはなかった。泥水だけをすすって生活を重ねた私の人生の中で、これほどはっきりと輝く希望は他にない。

 

ああ、日本のどこかに私を待っている犬がいる。

 

その想いだけで今日も私は生きていける。

というわけで、今回の特別編もこれにて終了。

次回からはまた市区町村名だけを添えた犬の看板画像をアップしていきます。

 

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