いぬの看板

あの町角を曲がれば

いぬの看板<特別編・その27>

いぬの看板<特別編・その27>

(N暗K太・著『犬のかんヴぁん』 Voyage of my dog sign  ~埼玉県東部地域編~より)

 

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五霞町

幸手市を北上中に、予定にはなかった五霞町まで足をのばせるのではないか、そこからさらに栗橋町までまわって来れるのではないかと考えた。幸手市を縦に走破し、幸手市最北の県営権現堂公園幸手権現堂桜堤(4号公園)まで来た。

五霞町は、川を越えた先だ。橋の上に茨城県の標識。そして県を越えた瞬間、遠くまで来たと、しみじみとした気持ちになり、同時に疲労がドッとおそってきた。

五霞犬】は、前回の探訪、弥彦線越後線編で、弥彦村にて見つけた犬看板と同じイラストだった。午前中に白岡市でも弥彦村と同じ犬看板を見つけたが、遠く離れた市区町村で、共通の犬看板を使用しているのは興味深い。

 

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久喜市

Googleマップ上では栗橋町と表示があるものの、久喜市突入を告げる標識を目の前に違和感を感じる。その場で栗橋町について調べると、2010年3月に久喜市と合併しているではないか。冷静になって思い返すと、探訪プランを練った夜、幸手市の隣は久喜市のみだったはず。

久喜市は面積も他の市町村に比べ大きく、久喜市よりさらに北に位置する加須市までは、今回の旅では届かないと判断していた。ここに来るまでマップを確認する度に、栗橋町の文字が頭に刷り込まれ、今はなき幻の町を目的地にセットしていたようだ。

疲れもピークを超え、地図を正確に見る余力も残っていなかったということか。まだ行けるまだ行けると欲をかき、時間の許す限り、犬看板目指して猪突猛進していた。気づけば県営権現堂公園多目的運動広場(1号公園)まで来ていた。

 

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【権現堂犬】を見て、犬看板の替え時は、いつなんだろうと思う。巷には文字が剥げたり褪せたりして読めないもの、すべての色が抜け落ちてまっさらな看板もある。本来持つ看板としての意味を成してはいない。でもそこに犬が居れば、僕らは見つけてあげられる。

さて、白岡市に戻ろう。自転車の返却は十七時まで。残り二時間を切っていた。白岡市観光協会までの所要時間を調べると、車で40分表示。

園内のトイレで顔を洗い、ペットボトルのお茶を口いっぱいに含み、一気に飲み込んだ。ずっと漕ぎっぱなしだったので、お尻の痛みが増している。南下しながら、久喜犬を探そう。自転車を漕ぎ出す。帰り道だと思うと、急にペダルが軽く感じた。

日光街道幸手宿を通る。風景を楽しむこともできる心境だ。青毛堀川沿いで【久喜犬】と遭遇、魂を抜き取られ、傀儡感のある、不気味犬だ。これでコンプリート。

 

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いぬの看板<特別編・その28>に続く