いぬの看板

あの町角を曲がれば

いぬの看板<特別編・その10>

<特別編・その10/プロローグ>

突然にはじまるものは何も恋ばかりではない。

毎日なにげなくのぞく郵便受けにも「突然」がひそんでいる場合がある。

約半年前に<特別編・その9/エピローグ>を終えたときには、まさか<特別編・その10>を書く機会が訪れるとは予想もしていなかった。

 

某月某日、日の出前に家を出た。日銭のために労働にいそしみ、疲れ切った身体を引きずりながら深夜に最寄り駅をおりる。改札を抜け、寒さにふるえながら帰路を急いだ。

緩慢な動作でいつもの郵便受けを開けると、大きめの水色の封筒が入っていた。この手の郵便物が届くことはまれだ。たいていは何かの支払いを催促する無機質で機械的な封書か、新築マンションの完成を知らせる類の投げ込みチラシしかないからだ。

いぶかしみながら開封した。中身を取り出した瞬間に意味を悟った。これは、半年前に届いた「ある探訪記のための習作」(http://jet-shirei.hatenadiary.jp/entry/2019/06/01/104706)に続く創作物であると。

そこには「犬の看板 報告書」と題字が掲げられ、N暗K太(※個人情報保護のため一部伏字)の署名があった。そしてその下にはこう続く。

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以下のとおりご報告申し上げます。

【題字】 Voyage of my dog sigh <弥彦線越後線編>

【記】

  1. はじめに
  2. 旅の準備
  3. 出発の朝、いざ探訪、三条市
  4. 燕市
  5. 弥彦村
  6. 新潟市
  7. 探訪を終えて

以上

 

嗚呼、また誰かによってどこかの「犬の看板」が探され、見つかったのだなと、他人事のように納得した。

報告書を丁寧に一読し、感心した。今回もこれをブログで発表しようと決めた。

 

そのため、市区町村名を添えた「いぬの看板」画像をあげる行為をいったん中断して、何回かにわたってこのN暗K太氏の報告書を<特別編>としてアップしていくことにする。

 

<特別編・その11>へ続く