いぬの看板

あの町角を曲がれば

いぬの看板<特別編・その12>

<特別編・その12>

(N暗K太・著/犬の看板 報告書 Voyage of my dog sigh <弥彦線越後線編>より)

f:id:jet-shirei:20191220002244j:plain

f:id:jet-shirei:20191220002314j:plain

f:id:jet-shirei:20191220002345j:plain

 

2.旅の準備

今回の旅の一週間程前に、妻は子供達を連れ佐渡へ先乗りしていた。家族総出で犬看板巡りは酔狂だろう。

今回の探訪など、なるべく家族に負担を掛けぬよう自分なりに配慮しているつもりだ。好き勝手やればいいじゃんと妻は言ってくれるので大変有難いが、家族に負担を掛けたくないという気持ちは本当だし、自分のやりたい事をしたいという気持ちにも嘘はない。

こんな時は決まって、長嶋有氏の「いろんな気持ちが本当の気持ち」という言葉を思い出す。日々制約が付き纏い、大きな事から小さな事まで決断の連続だ。家族のこと、仕事のこと、自分のこと、全体のバランスを崩さないよう、あんな事やこんな事をして必死に保っているつもりだ。

 

【旅のスケジュール】 自宅出発 自転車 05:30 浦和→大宮 JR京浜東北根岸線 大宮行き 06:08→06:17 大宮→燕三条 上越新幹線 とき301号 新潟行き 06:34→07:59 燕三条→吉田 JR弥彦線 吉田行き 09:02→09:15 吉田→新潟 JR越後線 新潟行き 09:56→10:55新潟→万代シティ 徒歩 15分程度 万代シティ→新潟港 新潟交通 バス 11:57→12:05 新潟港→両津港 佐渡汽船 12:35→15:05

 

8/10-8/15まで、6日間ある夏休みをフルに使い佐渡で過ごす。

1泊だけだが普段から子供達とも頻繁に遊んでくれている10年来の友人を佐渡に招待していた。妻の祖父母の家がほぼ空き家状態にあり、滞在する間はそこに寝泊りさせて貰う予定だ。友人とは新潟港で合流し佐渡へ向かう段取りをつけた。

今回の旅の計画は、佐渡へ向かう新潟港発のフェリー出港時刻から逆算して考えた。大宮駅から新潟行きの上越新幹線に乗り、燕三条駅で下車、普通列車を乗り継ぎ、新潟駅へ向かう事に決めた。

通過する市町村の犬看板を集める。スケジュールを見て頂ければ分かるが乗り継ぎまでの時間はそう多くはない。次の電車が来るまでの待ち時間が勝負になる。

燕三条駅から新潟駅に向かうルートは2つある。日本海側を通るルートと内陸を通るルートだ。地図で市町村の境界線を確認し、JRの路線と照らし合わせる。

 内陸ルートの場合は、加茂市田上町

日本海ルートの場合は、燕市弥彦村

 を、通過するようだ。

 内陸ルートの加茂市田上町は隣町だが降車する駅が別だ。ここで途中下車を繰り返すとフェリーの出港時刻に間に合わない。どちらか一つの犬看板しか回収できない。

日本海ルートは、乗り換え地点の吉田駅で下車すると、徒歩圏内で燕市弥彦村の犬看板を両撮りできる可能性がありスケジュールも問題ない。新潟行きの電車が来るまで40分程しかなく時間は限られているが、一つでも多く回収出来そうな日本海側ルートを選択した。何より海の方に向かいたいと思った。

 

太田氏がブログにアップしている犬看板の写真が150枚を超え、ちょうど『生活考察』Vol.06にエッセイを寄稿した頃だっと思う、同氏と犬看板について話をしていた時のことだ。

「はじめは自分でも何をしているかわからなかった」

 ちょっと呆れた表情を見せ、どこか懐かしむように笑った。視線をやや下に移した目は純粋だった。

太田氏は、いぬの看板ブログやエッセイの他に、犬看板くじ、写真集、オリジナルの犬看キーホルダーを作成しているが、この秋からフィルムアート社が運営する「かみのたね」というウェブマガジンの中で「犬たちの状態 犬を通して世界を認識するための連作」、を写真家の金川晋吾氏とスタートさせている。

 

<特別編・その13>へ続く